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  • vfsonoda

家族信託で受託者が複数名いてもよい?メリットやデメリットについても解説

更新日:2020年3月26日



家族信託で受託者を設定する際に、1人ではなく複数名を受託者とすることはできるのでしょうか。その場合のメリットやデメリットも気になるところです。

ここでは、家族信託で受託者を複数指定できるのか、その場合の方法や注意点、受託者となった場合に生じる義務などについて解説します。


家族信託の受託者は複数いてもよいのか

家族信託では、財産を所有している人が「委託者」となりますが、その財産を委託される「受託者」や、財産の運用によって生じる利益を受け取る「受益者」の設定については、柔軟な信託契約が可能となります。


複数名を受託者とすることは可能

結論からいえば、家族信託で受託者を複数名設定することは可能です。子どもが複数いる場合には全員を受託者にすることもでき、また子ども以外の家族を複数受託者にすることもできます。


家族以外を受託者にすることも可能

家族信託の受託者は親族等の範囲に制限はないため、遠い親戚や内縁関係の家族、家族以外の人物なども受託者にできます。たとえば、受託者としたくても子どもが既に高齢である場合や、逆に成人して間もなく信託業務を適切におこなえるか不安が残るような場合には、責任を持って受託者としての管理義務をおこなえる第三者を受託者とすることが可能です。


受託者を法人にすることもできる

家族信託では、受託者を個人ではなく、法人にすることも可能です。法人には株式会社や合同会社といった形態のほか、一般社団法人や一般財団法人なども挙げられます。土地や不動産などが財産に含まれる場合には受託者を法人とするケースも多いです。



受託者が複数いる場合のメリット

家族信託で受託者を複数名にする場合のメリットには、以下のような点があります。


監督者を置くことで管理業務が適切におこなわれる

受託者を1人だけに指定してしまうと、受託者である家族が財産の管理や事務業務についていい加減な対応をしていても、誰も監督する人がいない状況となる場合があります。

受託者とする家族の管理能力について信頼できる場合はよいのですが、受託者が多忙になる可能性もありますし、年を追うごとに負担に感じてしまうケースもあるでしょう。

こうした場合に受託者を複数名置くことで、受託者としての義務を振り分け、適切に管理ができるようにすることができるメリットがあります。


受託者が認知症や病気になった場合のリスクを避ける

受託者が1人だけの場合、認知症や精神疾患、重病などで受託業務が困難となる可能性もあります。仕事の都合で遠方へ引っ越すなど、物理的に管理が難しくなるケースもあるでしょう。

事務業務や管理業務をおこなう受託者が信託を継続できなくなった時のために、受託者を複数名にするというケースがあります。


ケースによっては話し合いがスムーズに

子どもが複数いる場合、不動産を複数所有しているのに長男や長女だけを受託者としてしまうと、家族間で揉めたり、トラブルとなったりするケースも考えられます。

等しい間柄である家族(兄弟姉妹)へ平等に財産を委託することで、こうしたトラブルが回避できる場合もあるでしょう。


受託者が複数いる場合のデメリット

家族信託の受託者を複数とした場合、以下のようなデメリットが生じる場合もあります。


話し合いが難航する場合がある

基本的に家族信託は委託者と受託者との間に同意があれば成立しますが、受託者が複数いる場合、受託者同士でも内容について合意や理解が得られるよう、家族間で十分に話し合っておいた方がよいでしょう。

特に問題なく合意に至る場合も多いですが、もともとの家族関係が良好でない場合や、コミュニケーションが十分取れていない状態で家族信託を進めた場合、後になって「聞いていた話と違う」といった不満が出てくることも出てきます。特に受託者が2名の場合には意見が違った場合、「決まらない」ということが起こりえます。

そのため、家族信託では受託者を複数名置くかどうかについては、中立的な立場の専門家と相談しながら進めていくのがよいでしょう。


相続の際に複雑となるケースも

委託者と受託者との間で合意を持って家族信託をおこなっていても、委託者が遺言を作成していたり、受託者が急に亡くなったりした場合に、相続時の手続きが複雑になってしまう場合もあります。

家族信託の内容(信託財産について)は、遺言よりも優先されますが、家族信託に関わっていない親族がこれを知らず、遺言を持って税理士へ相続の依頼などをした場合に、既に財産の権利が受託者へ渡されていることを知らないまま依頼してしまうケースも起こりえます。


(当事務所ではこのようなケースの防止のため、原則的には家族信託の受任前に家族間で合

意を得ていただくようにお客様へ促させていただきます)


また家族信託や相続については、すべての専門家が詳しい知識を持っているわけではないため、受託者の数を増やし過ぎてしまうと、管理や手続きの集約が難しくなってしまいます。


受託者を複数名置くことのデメリットを回避するためには、複数といっても2~3名の受託者にとどめ、家族信託と相続に詳しい税理士へ早い段階から依頼して進めることをおすすめします。



家族信託で受託者を複数置いた方がよいのかわからない場合の対処法

家族信託では委託者が元気な間に財産の管理を受託者へ渡せるため、財産を所有している家族が認知症となるケースが増えている現代において活用したい手法の1つです。

家族信託では設定や範囲に特別な制限がないものが多く、比較的自由度の高い契約であるとはいえ、その分「どうするのがよいかわからない」と悩む場合も多いものです。

受託者を複数置いた方がよいのかわからない場合は、以下のような点を参考に相談できる専門家を探してみるとよいでしょう。


家族信託に強い税理士事務所へ相談する

税理士事務所は全国各地にあり、九州や熊本県内にも多くの税理士事務所を見つけることができますが、その中でも相続に関する実績を持っている税理士は少ないものです。

多くの場合、税理士事務所では法人の決算や記帳代行をメインに行っているため、相続税の節税対策や税務のコツ、ポイントなどを熟知している税理士事務所は限られてきます。

特に家族信託は比較的新しくできた制度であるため、安心して任せられる税理士事務所は更に限定されます。

家族関係や人数、委託者と受託者の状況や財産の種類など、家族の数だけ相続の形があるため、より多くの事例を取り扱い、実績を多く持っている専門家であれば、過去の事例から適切な信託の内容についてのアドバイスが受けられるでしょう。


家族信託から将来的な節税対策までお悩みの場合は熊本家族信託・認知症相談室へ

共有名義にしている不動産があり、親の体調が思わしくない場合、子に管理を任せるために親族間で売買をおこなったり、管理会社を設立したりすると思わぬ多額の税金が発生する可能性があります。

また、名義人である家族が認知症となってしまった場合、不動産の管理や売却ができなくなったり、口座が事実上凍結してしまったりする可能性もあるでしょう。

熊本家族信託・認知症相談室では、相続や家族信託に強い税理士が在籍し、弁護士や司法書士など、ケースに応じて専門家と連携して手続きを進めることが可能です。

節税の意識を持って先の相続まで手続きを進めたいなら、現在の状態で何をするべきかについて、まずは一度無料相談を利用してみることをおすすめします。


家族信託では受託者を複数名にすることはできますが、何名にすればよいのか、誰にすればよいのかといった点を決めるのは難しいものです。

受託者を複数にすることのメリットとデメリットを理解し、家族信託についての基本的な知識を持って専門家へ相談することで、より財産の管理や相続について適切なアドバイスを受けることができるでしょう。

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