• vfsonoda

贈与税や相続税は発生する?家族信託で課される税金とは

更新日:2020年4月15日



日本で人口の高齢化がますます進む中で、現在財産管理の方法として注目されているのが家族信託です。家族信託を利用することで、親が認知症になって判断能力が失われた場合でも、家族の一員が親の財産の管理・運営を行うことができます。

現在家族信託の利用を検討しているという方は少なくないと思いますが、その際に知っておかなければいけないのが税金についてです。ここでは、家族信託において発生する税金についてご紹介します。

家族信託で税金を課されるのは受益者

家族信託の主な当事者は、「委託者」「受託者」「受益者」の三者です。委託者とは財産を信託する人のことで、家族信託はこの委託者から始まります。受託者とは委託者から信託された財産の管理・運用を行う人のことで、契約内容に沿った形で管理・運用を行います。そして、受益者とは財産から発生した利益を受け取る人のことです。受益者は委託者が契約時に設定しますが、家族信託の契約を結ぶ際に受益者の承諾は必要ありません。

そして、この中で税金を課されるのは実際に利益を受け取る受益者です。日本では名義や契約にかかわらず利益を受けた人に対して税金を課す「経済的実質所得者課税」が原則となっているため、税金の管理・運用を行う受託者には税金は課されません。


家族信託で発生する税金

家族信託で発生する税金には、主に「贈与税」「相続税」「所得税」「法人税」「譲渡所得税」「登録免許税」「固定資産税」があります。ここでは、1つ1つの税金の内容をご紹介します。

贈与税

贈与税とは、他人から財産を贈与された場合に受け取った側に発生する税金のことです。基本的に家族信託契約時において、委託者≠受益者の場合に受益者に対して贈与税が課されますが、家族信託契約時において委託者と受益者が同一人物に設定されている場合は課税対象にはなりません。なお、受益権は売買することが可能であり、受益権の譲渡によっては贈与税が発生する場合があります。

相続税

相続税とは、遺産を受け継ぐ際に発生する税金のことです。遺産総額が大きい場合にかかってくる税金であり、遺産の総額が小さく、相続税を計算したときに納税が発生しない場合には申告自体も必要ありません。

なお、相続税の対象となる財産には土地や建物などの不動産、現金や株式、投資信託などの金融財産、自動車、家具、著作権、特許権、生命保険、仮想通貨など多岐にわたります。


所得税・法人税

所得税とは個人の所得にかかる税金のことであり、1年間の所得から基礎控除等の所得控除分を差し引いた分に課税されます。法人税とは会社などの法人に対して課せられる税金のことであり、各事業年度の所得をもとに計算されます。受益権を移転させる場合、同族法人へ受益権を売買する場合などは、所得税や法人税について考慮する必要があります。


譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産の譲渡益に対して課税される税金のことです。譲渡した不動産の所有期間によって税率が異なり、5年以内の短期譲渡所得の場合は約40%、5年超の長期譲渡所得の場合は約20%となります。 家族信託を行い、信託財産である不動産を対象とした受益権を売却した場合、譲渡所得税がかかる場合があります。

登録免許税

登録免許税とは、不動産の売買や相続などで所有権が移動したときに、法務局で登記をする際に納める税金のことです。家族信託で不動産を信託にする場合には名義の変更が必要になるため、登録免許税が発生します。

固定資産税

固定資産税とは、土地や建物などの固定資産の所有者に対して課される税金のことです。信託財産に不動産を含める家族信託契約をした場合、不動産の名義が委託者から受託者へ名義変更となるため、今後は受託者に固定資産税が課されることになります。

家族信託を利用しての節税は可能?

中には、「成年後見人制度や遺言書と比べて節税できるのではないか」という考えで家族信託を検討する人もいます。ここでは、家族信託を利用しての節税について考えていきましょう。

家族信託の基本的な目的は節税ではない

一般的に、家族信託の利用は節税の手段にはならないと言われています。なぜなら、家族信託の目的はあくまでも「財産継承の目的を達成するための手段」であるためです。家族信託にはさまざまなメリットがありますが、節税を目的として家族信託を選ぶことは得策ではないと言えるでしょう。

ただし、だからといって節税について全く考えなくていいわけではありません。なぜなら、税金について考慮せずに家族信託の契約内容を設定することで課される税金が大きくなる可能性があるためです。特に贈与税や相続税に関しては注意が必要と言えます。

大きな損をしないためには、税金が課される仕組みや税率を踏まえつつ、契約内容を決める必要があると言えるでしょう。

贈与税は贈与額が年間110万円を超えた場合に課税され、税率は基礎控除後の課税価格が200万円以下で10%、300万円以下で15%というように、贈与額が増えるごとに税率が増えていきます。そして、600万円~1000万円では40%、3000万円超では55%と、贈与額が大きいとかなりの税率になります。

それに比べて税率が低いのが、相続税です。相続税であれば、税率は1,000万円~3,000万円で15%、3,000万円~5,000万円で20%、5,000万円~1億円で30%です。同じ額の贈与税と比べると、かなり税率が小さいと思われる方もいるのではないでしょうか。


ただ、この仮定はあくまで「1時点」を切り取って考えた場合であって、単純に相続税のほうが税率が低く、結果税額が低くなるという結論にはならないということは強調させていただきます。

税金と家族信託に精通している税理士にご相談された方が間違いないと考えます。


当社では、相続税・贈与税・所得税・法人税等の将来シミュレーションを実施したうえで、数値を見える化し、ご納得をいただいた上で、それぞれのご家庭にとって最適な家族信託のご提案を行っております。弊社の立場としては、お客様毎に所有されておられる財産額やご状況は異なりますし、ご希望も違ってきますので、一概には言えませんが大きな方向性として、家族信託をすることでの節税は可能と考えております。


税金について正しく理解したうえで家族信託の設定を

家族信託に伴って課される税金は、決して安いものではありません。どのような税金が誰に課されるのかを、正しく理解しておく必要があります。また、家族信託は節税対策のために利用するものではありませんが、税金について知らないことで大きく損をしてしまう可能性は十分にあります。そのような事態を避けるためにも、税金について正しく理解したうえで契約内容の設定を行いましょう。

とはいえ、自分自身で家族信託における税金について調べるのは限度があります。大きな損をするリスクを避けるためにも、家族信託や税金について深い知識を持つ専門家に相談したうえで家族信託を行うことをおすすめします。